2013年7月21日日曜日

初心者の為の、役に立つ(かもしれない)王滝100kmガイド(3)タイヤ編

というわけでタイヤ。
正直、タイヤに関しては走り方や求めるものによって違って来るので正解っての無いような気もするけど、初心者が完走する為に必要な事から考えると、大体以下の3点になると思う。

1.(漕ぎが)軽い事
2.パンクしない事
3.グリップが良い事

 軽くすれば当然薄くなるので、パンクはしやすくなるし、漕ぎが軽いタイヤは走行抵抗が少ないってことだから、グリップに問題が出るのは当然。ということで、どこでバランスさせるかというのが選択のポイントかと思う。
 初心者にとっては、パンクによるタイムロスは結構痛いので、迷った時は耐パンク性を重視するのが良いかもしれない。特に、リヤタイヤに多いサイドカットは、下手すると走行不能→リタイヤになってしまうので、ケアしておく事をお勧めする。
 それから、UST対応のリムを使えるなら、タイヤシーラントを使ってチューブレスレディータイヤをチューブレス化しておこう。少しの穴なら塞いでくれるのでタイムロスの機会を減らしてくれる。
 以下にこれまで俺が使用してきたタイヤとその感想を書いておくので、タイヤ選択の足しにして欲しい。ちなみにオススメ順になってたりする。

1.Schwalbe Nobby Nic
 Front : 26 × 2.10 Evolution Line, TL Ready, 475g
 Rear: 26 × 2.10 Evolution Line, Double Defense, 570g
 
 軽さ◯
 耐パンク◎
 グリップ◎
 価格△

 日本ではやや入手しにくいSchwalbeだけど、プラスチックのような硬さと耐久性、走行抵抗の低さによる漕ぎの軽さは特筆ものだと思う。
 Nobby Nicはオールマウンテン用のタイヤで、王滝に使われてるタイヤの中ではブロックが大きく、高いため、他のタイヤに比べると走行抵抗がやや大きいのが難点。舗装路で乗ると目眩がする程重くて遅い。但し重量は475g(26 × 2.10)とかなり軽量だ。
 しかしグリップの高さは特筆もので、下りでブレーキをかけるとスリップせずに速度が落ちる。ブロックが引っかかる感じで下りのスピードも上がりにくいので、初心者にとってはこれを選択する大きな理由になると思う。レーサーのヒトは他のタイヤにした方が良いと思う。グリップは十分過ぎるくらい有るので、他のタイヤに比べてやや高め(32-35PSI)の空気圧にすると、走行抵抗を減らすのと同時にパンクリスクを低減する事が出来る(オススメ!)。それにブロックが高いので、実際に走ってみても、明らかにタイヤ本体への傷が少ない。
液漏れは僅か。これならチューブドでも問題無さそう。
王滝を走った後とは思えない程ダメージは少ない。

 リヤタイヤも同じもので構わないかとも思うけど、サイドカットに耐性のあるDouble Defenseバージョンにしておくと更に安心だ。実際、サイドカットの跡はあったものの、見事に途中のスネークスキン層で止められていた。100g程重くなるけど、まあ、それでも軽量タイヤのうちだと思う。但し、日本では Double Defenseは(多分)買えない。Bike24なら全種類揃うけど、DHLは遅いので注意!

2.Maxxis Crossmark
   Front/Rear : 26 × 2.10, 545g

   軽さ◯
 耐パンク◯
 グリップ◯
 価格◎

 LUSTとかEXEとかのバージョンは重くなるので、ノーマルバージョンをチューブレスレディーで使用。ビードの形状がチューブレス向きではなかったけれど、使用には特に問題はなかった。ノブが低く、連続しているので、重量の割に漕ぎは軽いし、パンクにも耐性が有りそう。サイドも結構丈夫で、何カ所かサイドカットしかけていたけれども深刻な傷は無かった。グリップもNobby Nic程ではないが悪くはないし、国内で入手しやすいのも良いところだと思う。海外通販だとコンパウンドが違うのとか、TPIが多いのとかもあるので試してみるのも良いかもしれない。難点と言えば、既に設計が古い事くらいだろうか?
今だったらIKONを使った方が良いかも。軽いのに耐パンク仕様だし。

3.Schwalbe  Racing Ralph
  Front /Rear : 26 × 2.10 Evolution Line, Double Defense, 540g

 軽さ◎
 耐パンク◎
 グリップ△
 価格△

 Nobby Nicよりも高速型のタイヤだけあって、MTBのタイヤとしてはかなりオンロードでも楽なタイヤだと思う。60PSIまで上げれば長距離ツーリングもラクチン。しかし、王滝の登りだとグリップが足りなくて時々滑るし、下りももちろん滑る。但し、速い事は速いし、滑り出しが解りやすいので、上手いヒトが使えば 結構使えるタイヤかもしれない。ブロックは小さめなので、根レース後半には元から削られてグリップが更に低下するので注意だ。

ノブが低いので穴だらけ。でもNotube液を入れておけば十分耐えた。

ノブの根元から削れるのでグリップは徐々に低下する
 でも、この前2.25を試してみたらかなり良かった。軽いので加速が楽だし、接地面が増えたのでグリップも改善されたし、エアボリュームも大きくなったので乗り心地も良い。次回はこれにするかも。

4.Specialized Fast Trak
 Front : 29 × 2.00 S-works 2blis
 Rear : 29 × 2.00 Control 2blis

 軽さ◎
 耐パンク△
 グリップ◯
 価格◯

 購入したマシンの標準装備だったのだが、このタイヤはハンパ無く速い。ロードノイズも低いし、走行抵抗もかなり低い。舗装路では気が付くと40km/hrを越えている。そのくせ王滝の登りでもグリップするし、下りはさすがにエアーボリュームが無い分乗り心地は落ちるものの、滑る事もそんなに無い。まあ、Nobby Nicのようなグリップではないけど。
 ということで、Fast Trakは走りの面では 全く問題がないのだが、残念ながら耐パンク性に関して、29インチはケアされていない。アルマジロバージョンが手に入る26インチ車なら良かったのだが、29インチで出来るのは、せめてサイドが厚いControlバージョンにする事くらいだし、これもサイドが厚いというだけで、サイドカットに耐性が有る訳では無かった。一撃で沈没。

サイドカット一発!タイヤブートは使用しないでも何とかなったけど。
走りは良いので、アルマジロバージョンがControlバージョンと同じくらいの重さで出るならまた使いたいタイヤだ。

2013年7月4日木曜日

初心者の為の、役に立つ(かもしれない)王滝100kmガイド(2)マシン編

では続けてマシン編に行ってみよう。

 1.自転車本体
 一番必要な装備は、当たり前だけど自転車だ。MTBと書かないのは、レギュレーションの甘いSDAだから。一輪車で出てるヒトもいるし,シクロクロスも何回か見た。ママチャリとかでも完走出来るかもしれないけど、そういうのは一度完走してからにしよう。まあ、初めはMTBから入るのが楽なので、MTBの選択について書いてみよう。といっても語る事は多くない。他の人たちも奨めているように、初心者である程フルサスが楽だ。
 登りはハードテイル、下りはフルサスというのはある程度上手いライダーに言える事で、一般のライダーに取っては、ハードテイルは登りのギャップでタイヤがスリップして、意外に登りにくい。フルサスは路面のでこぼこにタイヤを押し付けるようにしてくれるので、適当に漕いでいれば自転車がなんとかしてくれる。特に5月の逆回りコースではCP2から3とCP3直後の激坂でフルサスの恩恵を感じられると思う。
 ではフルサスの難点はといえば、ハードテイルに比べて重い事が一番大きい。大体同クラスのハードテイルに比べて1-2kg重い訳だから、それを2500m以上引き上げるのはちょっと悩むが、トータルで言えばフルサスが楽なのは確かだと思う。

やはりフルサスがオススメ
29erも最近増えて来たけど(というか俺も29erに変わったけど)、漕ぎ出しが重いのがちょっと大変だ。スピードをある程度(8km/hrくらいかな?)出せるなら、車輪が止まりにくいし走破性も良くてオススメだけど、そこまで出せないと、只の重い自転車になってしまう。ホイールを軽くするだけの財力があればかなりオススメかも。

 忘れてはいけないのは、サスのセッティングをちゃんと出す事。初心者だと加減が解らないので、ショップとか経験者に聞くのも良いと思うけど、最終的には自分の乗りやすさだから、良く詰めておこう。低速コンプレッションが速すぎると撥ねてコントロールしにくいし、遅すぎるとリバウンドが間に合わずに硬い感じになる。RLTとかの、バルブ解放のthresholdが調整出来るタイプは、ダンシングで解放されない程度まで開けておくと、うっかりサスのロックアウト解放を忘れてダウンヒルに入ってしまった場合でもなんとかなるのでオススメ。

2.ホイール
 OSJのアンケートによると、王滝参加者の2割以上がMavicを使用している。今では良いホイールもいっぱい有るので、Mavicにこだわる必要はないと思うけど、それだけ信頼されてるんだろう。ちなみにSDAのスポンサーはFulcrum。Mavicにもスポンサーになってもらいたいものだ。Mavicは硬くて転がりが良いのが身上。止まりにくいのでちょっとだけ速く登れる感じがするけど、硬いのでサスのセッティングやタイヤの選択で補った方が良いかも。ちなみにタイヤはUSTチューブレスよりもチューブレスレディー使用がオススメだけど、これに関してはまた後で。

3.サドル
 100 km走る事を考えて、ペダリングのスムーズさとお尻へのダメージのバランスを取る事が重要だとつくづく思う。いやホントに。柔らかいサドルは楽そうだけど、デリケートな部分を圧迫して、痺れが出る事が有るし、エンジンがしっかりマウント出来ないので、ペダリング効率が悪くなる。許せる程度に固めなのを選ぶのがオススメかも。個人的にはFizikが好きだけど、GOBIはセッティングがシビア だったなあ。長距離を走って決めよう。ちなみにFizikはテストサドルを貸してくれる店があったりするので、サドル選びの旅をちょっと楽にしてくれるかも。

4.ハンドル
 お金が出せるならカーボンにしておこう。振動吸収性が高いので、体力の消耗が(僅かでも)少なくなる。実際楽だったし。グリップも衝撃吸収を考えて選ぶと更に楽。

5.チェーン
 KMCとかのリンク式がオススメ。切れた時の対処も楽だし、普段のクリーニングもラクチンだ。

6.ブレーキ
 初心者はブレーキの使い過ぎでパッドを使い切ってしまう事が有るので、パッドは消耗しにくいメタル系がオススメだけど、テキトーなのを買うと鳴くので注意!うるさいので回りに済まない気持ちになる。あの時はごめん!
予備のパッドを持って行くのも良い考えだと思う。予備と言えば、ディレーラーハンガーも持ってくとより安心だ。ブレーキには関係ないけど。
そうそう、ブレーキを使いすぎると、加熱してフェードしやすくなる。王滝前にはオイルを交換しておくのが吉。
余談だが、先日Magura MTSのブレーキパッドを点検したら、まだ8割くらい残っていた。王滝1回とその後1500kmほど走っているので素晴らしい耐久性だ。オススメです!

7.タイヤ
 王滝族の永遠の課題、それはタイヤ。これに関しては結構言いたい事が有るので別のトピックにしておこう。ということでタイヤ編に続く。